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立命館大学西山教授

経営学博士。立命館大学共通教育推進機構教授。三菱商事社外取締役(2015年―2022年)。
人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計62冊。


西山教授 インタビュー記事 

社内ベンチャーを起こした経験について


西山教授

:今日は西山教授のインタビューだ。緊張するな・・・。

どんな話が聞けるんだろう。楽しみだな。ワクワク♪

西山教授プロフィール▽▽▽

立命館大学共同教育推進機構。経営学博士。

立命館大学共通教育推進機構教授。三菱商事社外取締役(2015年―2022年)。

人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。「ビジネスリーダーの生涯キャリア研究」がライフテーマ。著書は計62冊。




西山先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 


よろしくお願いいたします。


    

先生、それでは早速始めさせていただきますね。なぜ先生は大手企業にお勤めされながら起業しようと思われましたか?ぜひきっかけを教えてください。


東京ガスから(財)中東経済研究所(現日本エネルギー経済研究所)に出向してやっと戻ったんだ。そしたらね、人事部から「よく頑張った!よし、西山さん、好きな部署にいかしてあげよう」って(笑)



(笑)でも、ワクワクしますね。僕はどこがいいかな?先生はどの部署に希望を出しましたか?


東京ガスには1万3000人の社員がいるんだ。三十半ばの僕が彼らと差別化できるのは、新規事業だと。新規事業だとみな素人だからね。自分でも勝てる分野じゃないのかなと思って、思い切って新規事業に踏み込んだんだ。

 


なるほど!それは名案ですね。新規事業をどういうふうに進められましたか?



自社以外の大企業7社に声をかけて「新規事業研究会」を作ったんだ。ターゲットを大企業の管理職にし、彼らのニーズを探ってね、1年くらいかけて議論して、夏合宿などもみんなで行ったりして、楽しかったな。みんな真剣だったよ。


中高の部活動みたいですね(笑)楽しそう。そこからどんなアイデアが生まれましたか?



「管理職クラスを、社会でも通用する人材へと支援する」を事業の核にしたんだ。僕たちがこの1年考え、仮説を立てたことは「社内のことしか知らない部長、課長が多いのでは?」ということなんだ。それには、まず積極的に社外の人的コミュニケーションを広げて、視野を高めてもらうことが一番だと考えた。管理職向けの講演や研修、体験などを行えるサービス事業を展開してみたりね。実際にやってみたら、参加者の満足度も高くて、年間200本の企画の実施に成功したよ。


転職するのが当たり前の時代。長年その会社で経験を積んだ部課長だと、次の人生何がしたいのか、自分に一体何ができるのか、たしかに不安になりますよね。でもその不安ってなかなか一人で解決するのが難しい。それを皆で解決できるように、皆でサポートする機会を設けて、新たな将来を前向きに考えてもらう。素晴らしいサービスですね。




そうそう、その通り。「日本を動かす大企業の部課長最大ネットワーク」と評価されて、取材もたくさん受けたりしたんだ。



  

素晴らしいですね。西山先生、是非とも起業を目指す学生に、新規事業成功の秘訣を教えてください。



  

よし、それでは3つ僕が大事だと思うポイントをあげましょう。




先生、お願いします。メモメモ!



まず一つ目は、建前でなく、本音でそのニーズがあるかどうかを確認すること。ただの「思いつき」でやっていくと失敗してしまう。ヒアリングやアンケート調査で「こういうのは必要ですか?」と質問したら「必要です」と回答する人も多い。本当に個人として絶対に欲しいと感じているサービスなのか、深堀して考察しなければいけないね。





 ありがとうございます。飲食店に行ったらよくアンケート用紙とか置いていますよね。「美味しかったですか?満足しましたか?」とか、5段階評価がありますけど、なんとなく申し訳なくて・・・否定的な0とか1とかチェックしにくいなって・・・。顧客の本音を聞くのは難しいですね。泣(><)





あはは、そうだね。(笑)二つ目は、チームで議論を交わしていくと、全員一致で「これだ!」と合致する瞬間がくる。全員の意見が合致する瞬間を経験したチームは強いんだ、とても。ビジョンが同じで、チームの熱意が強ければ、どんな挫折があっても負けない。チーム作りって大切なんだ。





同感です。僕たちも「RIVER」を作ろうと満場一致で決めました。起業に興味をもった学生たちに少しでも役立つ良いホームページを作ろうと一生懸命です。





三つ目は、ビジネスモデルの作り方に関して。何より、顧客にお金を継続的に払ってもらうビジネスモデルの組み立て方が必要だ。例えば、JTBは大手旅行会社だけど、そのビジネスモデルには一つ問題がある。今年JTBで旅行しても、来年もJTBを利用するかどうか分からない。それに比べて、例えば生命保険業界は一回加入すれば、20年、30年毎月払い続ける仕組みがあるよね。ビジネスとしてどっちが良いかというとやはり後者だね。




確かにサブスクのようなビジネスモデルだと収支予測も立てやすいですよね。そのうえ、次にどんな事業に投資するのか、今後の経営戦略も立てやすいのかと思います。





そうだね。私はこの3つが起業において大事なことだと考えるよ。呉くんも起業に興味があるんだよね。





はい。僕も起業したいと考えています。まだどんな事業にしようか、考え中ではありますが・・・。




 

だったら、この3つのポイントをしっかり押さえておくこと。これらを押さえたうえで、顧客のニーズにマッチしたサービス、商品を展開しなければいけないね。





学生の間ですぐに起業をするべきなのか、それとも一度企業に就職してから起業をするべきなのか、起業のタイミングで迷っています。先生、アドバイスいただけませんか?






そうだね、僕の周りで学生時代ビジネスをやってた人がいたけれど、それはすごくプラスの経験だと思う。みんなが遊んでいる時から仕事してるんだから、当然差がつくよね。例えば、興味のある分野のベンチャー企業にインターンしたらどうかな?そのままベンチャーに就職したいと思わなくても、ベンチャーの苦労を見られる。今しかできない経験だよ。




そうですね、僕もインキュベータ施設に入居している企業様の支援をしています。キラキラしてかっこいい世界かと思ったのですが、資金繰りが厳しい、人手が足りない、売れない、色んな悩みを抱えておられます。でも上手くいったときの皆さんの笑顔も見ることができます。苦しみ、喜びをベンチャー企業の皆さんと一緒に味わえる経験ってすごい経験だと思います。





なるほどね。それは良い経験が出来ているね。ただもう一つ、僕は一度企業に入ってから起業するのも良いと思うんだ。会社の仕組みが分かって、社会人のマナーや付き合い方も身につく。その経験があれば起業するときにきっと役に立つと思う。




ありがとうございます。最後に起業を目指す学生にメッセージをお願いします。





消費者のニーズを見つけるために、普段の仕事の中で、困っていることやこうした方がいいと感じたことをノートにまとめて、その解決策を考える癖をつけてみよう。企業に就職するにしても、起業の選択肢を持つことは重要な意味があると思う。それをしっかり認識することが大事だよ。例えば入社した後、どうやったらこの会社を利用して事業を立ち上げられるか・・・とかね。





 はい。





あとは営業力も大事だ。僕の言う営業力はじっくり人を観察して、心理を読みとる訓練をすること。一人ひとりに合わせてニーズに合った提案ができる、そういう人が営業に向いているんだろうね。自己投資も大事。マーケティングと簿記は経営に必須の知識だよ。呉くん、起業をしたいと思うなら、大学卒業した後もしっかり勉強しなくちゃいけないよ。






はい、頑張ります。先生、本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございました。





 

ありがとう、呉くん、頑張ってね!




はい!


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